Part1:Mガンダム大地に立つ

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人類が増えすぎた人口を宇宙に移して50余年・・・

地球からもっとも遠いスペースコロニー、サイド1は「きらめき公国」を名乗り、地球連邦国家「ひびきの共和国」に対し独立を求めて宣戦を布告した。当初は国力で勝るひびきの軍が有利とされていたが、電波の撹乱を起こしレーダーを無効化する微粒子「ミノフスキー粒子」と、その微粒子の特性を生かして白兵戦を戦略の一つに取り入れるべく開発された人型機動兵器MS(モビルスーツ)の存在がきらめき軍の戦況を有利に進め、逆にひびきの軍は窮地に追い込まれていた。

この戦況を打開すべく、ひびきの軍は持てる技術を結集して独自のMSを開発する「V作戦」を発動。しかしこの情報はきらめき軍に漏れ、3機のMSを搭載した最新鋭万能機動戦艦「レジェンド・ベル」はきらめき軍の1隻の巡洋艦に尾行されていた。


月軌道に近いひびきの領のコロニー、サイド7。のどかな風景のこのコロニーにサイレンが響き渡る。そんな中を1人の少女が走っていた。

ほどなくして少女は1軒の家の中に入っていく。

ギィィィ、ガチャン!

「きょうすけく〜ん、いる〜?」

「ハロー、ヒカリ。ハロー・・・」

ボール型のロボット、ハロが出迎えた。そしてハロは階段の方へと転がっていく。

「・・・2階ね。」

ヒカリと呼ばれた少女はハロを抱きかかえ、2階にある部屋に向かった。


「ハロー、キョウスケ。ハロー・・・」

「やあハロ、今日も元気そうだね。」

「サンキュー、キョウスケ。」

部屋に入ったとたんにハロは少女の手から離れ、中にいる少年にあいさつした。部屋の片隅ではキョウスケと呼ばれた少年がなにやら機械をいじりながらハロに返答する。

「もう、響介!やっぱりこんなことだろうと思った!」

「ん?やあ光、いらっしゃい。」

そう言って明るい表情をみせる響介。それを見た光はあきれずにはいられない。

「いらっしゃい、じゃないでしょお!サイレンが聞こえなかったの!」

「へ!?サイレン?」

「はぁ〜〜、やっぱり。キミって機械のことになるといっつもそうだよね。周りが全然見えなくなるんだもん。」

「いやぁ、それほどでも・・・」

「褒めてないでしょ!まったく・・・」

「ははは、わりぃわりぃ。」

「あははは・・・」


光と響介・・・家が隣同士のため、2人はいつもいっしょだった。響介がこのサイド7に訪れたのは今から3年ほど前。当時周りの友達になかなかとけこめない響介に、光はやさしく接してきてくれた。以来響介は光や他の友達に対して心を開くようになり、その才能のマルチぶりを発揮していた。

絵に描いたような美形の少年、勉強もスポーツも他を圧倒する優秀ぶり、人当たりもよく明るい性格なため、男女問わず絶大な人気のある少年・・・それが光ともっとも仲のよい、そして光が密かに憧れている響介なのである。特に理系がすぐれており、自作のコンピューターやらロボットやらをいくつか開発しているらしい。ハロも彼の発明品の1つである。


「なあ光、なんでいきなりサイレンが鳴ってんだ?」

「なんでも軍艦がこのサイド7に入港したんだってさ。」

響介が避難所に向かうエレカ(電気自動車)を運転しながら光からこれまでの状況を聞きだす。そんなエレカを双眼鏡で眺めている者たちがいた。


「ふーん、民間人はあのエレカを除いてみんな退避してるみたいね。」

「MSは?」

「あの戦車もどきも数えるなら3機ってとこね。やっぱV作戦っての、噂じゃなかったんだね。」

「うん、よし。おおかたデータも集まったし・・帰還するわよ、伍長。」

「いいえ、如月少尉。いきます!」

「!! まちなさい伍長!命令違反よ!!」

「藤崎少佐だって、戦場での戦いで勝って出世したのよ!手柄を立ててしまえばこっちのもの。敵を倒すのは早いほどいいでしょ!!」

「伍長!く、仕方ない!」

突然サイド7の片隅から、2機のMS:ザクが格納スペース目指して飛び出した!


ズガガガガガガガ・・・・・

ドガ〜〜ン!!!!

2機のMSのマシンガン乱射で、あっという間に火の海と化すサイド7。61式戦車隊が応戦するが、MSを足止めすることができない。とうとうザク2機は格納スペース付近に到達していた。

「なんて奴らなの!コロニーの中で戦闘を仕掛けるなんて!!」

「光、とにかく走ろう!」

「・・うん!」

先の戦車隊とMSの戦闘に巻き込まれて響介のエレカは中破してしまったが、2人は奇跡的に無事だった。

「こっちです!」

軍人たちが民間人を機動戦艦レジェンド・ベルに誘導する。退避カプセルでは危険と判断したのだろう。だが、片方のMSは非情にもそんな民間人に接している軍人たちに向かってグレネードを発射した!

チュド〜〜ン!!!!

「きゃああああ!!」

「くうう!!」

光と響介は爆発による熱風に少しだけ巻き込まれたものの、致命傷には至らなかった。だが爆心地を見ると、数名の軍人と民間人がボロボロになって横たわっていた・・・

「し、死んだ・・・そんな・・・」

目にめいっぱい涙を溜め、華奢な体を震わせながら声を絞り出す光。そして足腰から力が抜けてその場に座り込み、それに呼応するかのように目尻から涙が流れ出す。

「・・光、気持ちは分かるけど、いつまでもここにいたら危険だ。さあ、早く立ち上がってあの戦艦に・・・」

力が抜けた光に、響介はやさしく声をかけた。その言葉が効いたのか、光の体に再び勇気が宿る。

再び走り出そうとした光と響介・・だが、響介のなかの何かが強烈な危険信号を発信する!そして・・・

「光、危ない!!」

「え!?きゃあ!」

チュド〜〜ン!!!!

そこにいたザクが2発目のグレネードを発射していたのだった!響介に突き飛ばされた光は難を逃れたが、響介の方は爆風で崩れた岩壁から生まれた砂利に肩から上を残して埋められてしまっていた。

「いやあぁぁぁ!きょ〜すけくん!!」

再び号泣する光。その声に反応して、響介は砂利の山の圧力に苦しみながらも必死に光に向かって声を発する。

「・・ひかり・・俺は・・これくらい・・平気だから・・・だから・・は、はやく・・逃げて・・・だいじょうぶ・・・きみは・・強い女の子じゃないか・・・」

苦しさを紛らわすかのように、そして光を精一杯元気付けるため、懸命に笑顔を作る響介。しかし、そんな響介の元へ、あのザクが迫って来ていた!

「(どうしよう・・・このままじゃ・・このままじゃ響介くんが死んじゃう!)」

「な・・なにやってるんだひかり・・・は、はやく走るんだ・・・俺に・・かまわずに・・・」

「(いやだ・・ここで逃げたら、響介くんとは離ればなれになっちゃう!そんなの・・そんなの絶対いやだよぅ!!)」

目に涙を浮かべ、必死に響介を助ける方法を考える光。苦しみながらも必死に逃げるように、光だけでも生き残るように説得する響介。

そのとき、光は1台のトレーラーを目にした。

「あれは・・・」

荷台には1機のMSが横たわっている。それを確認した瞬間、光の足は無意識にそのMSに向かっていた。

「(うまくいく保証なんてどこにもない。でも、響介くんを助けるには、これしかない!)」

トレーラーのカバーを開け、MSのコクピットを確認し、光はそのシートに腰を下ろした。途端に正体不明の恐怖心に襲われる光。しかしそのとき、彼女の脳裏は響介の姿でいっぱいになった。出会ってから今日までの思い出が鮮やかによみがえる・・・

「(響介くん・・・つらいときや悲しいとき、いつもそばにいて私を助けてくれたよね。私を励ましてくれたよね。だから、今度は私がキミを助けてあげる!・・響介くん、待ってて!!)」

そして光はめいっぱい勇気を振り絞り、そのMSを起動させようとする!


「最終防衛ライン、突破されました!」

「我が軍のMSは?」

「Y(ユウコウ)ガンキャノン、S(ショウシン)ガンタンクともに大破。ザクは依然前進を続けています!目標をM(メモリアル)ガンダムに定めたもようです!!」

「いけない!!Mガンダムは死守するのよ!!」

「むうう、コロニーの中からの攻撃とはな・・・」

機動戦艦レジェンド・ベルのブリッジでは絶え間なく悪い報告が飛び回っていた。現在ブリッジにはケガをした将軍らしき風格のある老人、士官候補生らしき女性と、オペレーターが数名いた。だが、逆にいえば軍関係者はここにいるものを除けば、民間人の誘導あるいはザクを食い止めるための戦闘でほぼ全滅状態だった。

いまのサイド7のひびきの軍に、Mガンダムを狙うザクを食い止める術はない。万事休す・・そんなときだった!

「!! そんな、まさか・・・艦長!Mガンダムに誰か乗っています!!」

「なに!モニターに出せるか!?」

「はい!いまメインモニターに回します!」

オペレーターがキャッツアイから送られてくる映像をメインモニターにまわすと、ブリッジのメンバーはそれに釘付けになる。

モニターには赤いショートヘアーの女の子が必死に計器に向かって何か叫びながらあれこれ操作している様子が写し出されている。

「女の子・・・高校生くらい・・かな?」

「艦長、まさかあの女の子、Mガンダムを使ってザクと戦おうとしているんだけど、起動できないんじゃ・・・」

艦長と呼ばれた男はその様子を見て、しばし何かを考えていた。

「艦長、私は反対です!訓練もしていない、年端も行かない女の子を戦線に立たせるなんて!」

士官候補生らしき女性の意見が飛んだ。だが、艦長が口にしたのは意外な言葉だった。

「ザクの奇襲により我が軍はもはや壊滅状態だ。初陣にしてはやや若いが、かつてジャンヌダルクは16〜7歳のとき、砦に駐軍するイギリス軍を撃退したものだ。・・・よろしい、やらせてみたまえ。」

「了解!Mガンダムとの通信回線開きます!」


「お願い!動いて!動いてよ!!」

ザクはすぐそこまで迫っていた。だが、光はいまだMSを起動できない。不安とあせりからあれこれボタンやらレバーやらをいじりまくっている・・・そんなときだった。

『そこのあなた、聞こえる?』

「え!?」

どこのスピーカーから流れてきているのだろうか、しかし、いまはそんなことを考えている暇はなさそうだった。

「誰だか知りませんが、お願いです!これの起動の方法を教えてください!」

『待って、いまマニュアルを転送します。』

そのオペレーターの発言とほぼ同時に、計器に付属されているディスプレイが文字で埋め尽くされる。光はすぐさまそれにある通りに操作した。

ギュウウウウウン・・・

たちまちコクピットが明るくなり、機体がアイドリング状態になるのが分かる。正面の壁でしかなかったものに、外の映像が写しだされた。視点は、コクピットブロックよりやや上・・つまり、MSの「目」からくる映像だ。

「このレバーとこのペダルで・・・うんうん、なるほど。よし、いける!」

簡単にだがマニュアルを頭に叩き込み、光はそのMS:Mガンダムを大地に立たせた。

「このぉ!ザクめえぇぇ!!」


「きゃああ!」

突然のMガンダムのタックルを受け、ザクのパイロットの新米兵士は絶叫する。いまの一撃で、ザクとMガンダムは響介のいる場所から多少離れたところに来ていた。

「なんなのよ、あんたぁ!!」

ザクはMガンダムに向けてマシンガンを乱射した。

「え!?きゃあああ!!」

マシンガンを被弾し、多少ひるんでしまう光のMガンダム。だが、MSはほぼ無傷のままだった。

「なんてMSなの!?至近距離からの攻撃をまったく受けつけないなんて!」

そんな一瞬のすきに光は背中にあるビームサーベルを取り出し、ザクの胸めがけて突き刺した!

「このおぉぉぉ!!」

ザキュウウウウ・・・

頭部のモノアイが輝きをなくし、ザクが力なく崩れていった。それを見て、光は1機倒したことを自覚した。

「よくも私のはじめての部下を!」

ほどなくして、もう1機の方のザクが突進してくる!

「MSを爆発させたら、響介くんに被害が・・・こういった突進を食い止めるには・・・」

突進してきたザクは、おもむろにヒートホークを振り下ろす。そのタイミングに合わせ、光はザクの腕をビームサーベルで切り落とした!

「な、にぃ・・・」

「あんたたちさえ、あんたたちさえこなければ!」

光は涙目になりながらザクの腕と頭のパーツを斬り飛ばす。たちまち胴体だけになるザク。もはや何もできないと判断したザクのパイロットは、機体を捨てて脱出した。


「未緒に新兵が抑えられないなんてね。」

サイド7の外に待機しているきらめき軍の巡洋艦。未緒はからくも脱出できたものの、新兵はM
ガンダムとの戦闘で殉職したようだった。その報告を聞き、赤いロングヘアーの女性士官がつぶやく。

「認めたくないわね、私自身の、若さゆえの過ちというものを。」

「藤崎少佐、如月少尉の収容を確認しました。」

そこへきらめき軍の下仕官が報告に来る。

「ごくろうさま。それじゃ、わたしも行きましょうか。」

「え!?藤崎少佐・・まさか・・・」

「未緒はうまく脱出してきたわ。とすると、逆も可能だと思わない?」

「し、しかし、補給艦を待たないのですか?」

「戦いはいつも二手三手先を考えて行うものよ。」

光は慎重にMガンダムの手を動かし、響介を救出した。幸い、響介はあまり大きな怪我はしていないようだった。そして彼の無事を確認すると、光は勢いよくMSから飛び出してきた。

「響介くん!」

「光、まったく・・・あれほど逃げろって言ったのに・・・」

「もう、ばか・・ほんとに心配したんだからぁ。」

「へへへ・・・そういえば、バカっていうほうがバカなんじゃなかったのか?」

「もおお、ばかぁ!」

そう言って光は響介の胸に飛び込んだ。響介は自分の胸の中で涙を流す光の頭をやさしくなでながら、

「・・ありがとう、光・・・」

光の耳元に小さく囁いた。その言葉に呼応してか、大量の涙をこぼしながら強く響介を抱きしめる光。



そのとき、響介が再び何かを感じ取った!急に表情を変え、近くに落ちていた銃を拾い上げる。

「光、すぐ戻るからここで待ってて。」

「え!?う、うん。」

そうして、響介は光を自分の体から離し、岩陰の方へ走っていった。


「この切れ方・・荷電粒子、ね・・・MSがビームを扱えるというの?」

きらめき軍の士官の制服を着た女性が、なにやら調査をしていた。そこへ、

「動くな!動くと撃つ!」

銃を構えた響介がその女性士官の背後に現れる。しかし、その女性は落ち着いて答えた。

「勇敢ね。軍人とも思えないけど・・・」

そう言って女性士官が振り返り、響介と目が合った瞬間、

「え!?」

「な!?まさか・・そんな・・・」

2人は大きなショックを受け、何かにとりつかれたかのように固まってしまった。そこへ光が走ってくる。

「響介、軍には入っちゃだめよ。分かった?」

一瞬響介が目を離した瞬間、女性士官はそれだけ言ってすばやく響介の前から立ち去った。

「待って、姉さん!詩織姉さん!!」

響介がそう叫んだとき、詩織はすでに見えなくなっていた。

「響介くん・・どうかしたの?」

愕然としている響介に、その場に辿り着いた光が訪ねる。しばらく沈黙が続いていたが、やがて響介はゆっくりと表情を崩した。

「大丈夫、心配いらないよ。それより、どうかしたの?」

「え、うん。ほら私、軍のMSを勝手に乗って動かしちゃったから、いますぐ停泊しているレジェンド・ベルっていう戦艦のブリッジに出頭しなきゃいけないんだ。だから、ついでに響介くんをつれてこうと思って。」

少し暗い顔をして事情を説明する光。そんな彼女の表情を見て、響介は1つの決心をする。

「うん、分かった。でも、俺もブリッジにいっしょに行くよ。1人じゃ不安だろ?」

「・・うん。ありがとう。」

響介は責任を感じていた。光は自分を助けるためにMSに乗ったのだ。だから、光が万が一何か処罰されるのであれば、自分が変わりに受けよう・・と。


「あなたたち、名前と所属は?」

「・・陽ノ下光、高校生です。」

「・・藤崎響介、同じく高校生です。」

「そう、学生だったのね。ところであなたたち、警報が聞こえなかったの!?今回は無事だからよかったけど、もしかしたら先の襲撃で死んでいたかもしれないのよ!どうしてすぐに避難しなかったの!!」

「・・すみません・・・」

ブリッジでは説教が続いていた。しかし、光も響介もおおかたそのような予測をしていたので、精神的にはたいして苦痛ではなかった。

「特に光さん!あなたは無断でMSを動かしたわね。いちおう軍のトップシークレットに無断で触れたのだから、あなたに処罰を与えます!」

「・・・はい。」

少しうつむきながら、覚悟をきめる光。そこに、

「待ってください!!」

響介の叫びが響き渡る。

「光は軍の機密に触れるつもりはなかったんです!彼女はただ僕を助けようとしただけなんだ!だから、責任は僕にあります!僕がもっとはやく戦闘区域から立ち去っていれば、彼女は戦闘に巻き込まれることも、MSに乗ることもなかったんだ!だから・・だからその分の償いも、光の処罰も、僕が代わりに全部受けます!!」

「きょ、響介くん・・・」

光は力説する響介の姿を見て素直に感動していた。本当は、処罰はとても怖い。そんな自分の気持ちを察したのか、響介は自分の代わりに全てを償うと言った。そんな響介の言葉に、光は胸の奥に何か熱いものがこみあげてくるのを感じていた。

「待ちたまえ響介くん。話は最後まで聞いてもらえるかな?」

いままで沈黙していた艦長が、とうとう口を開く。

「か、艦長・・・」

「ごくろうだった琴子くん。下がりたまえ。」

「・・・はい。」

艦長は琴子と呼ばれた女性士官をさげて、口を開いた。

「響介くん、我々は光くんに感謝もしているのだ。彼女のおかげで、貴重なMS、Mガンダムを奪われずに済んだのだから。」

「メモリアル・・ガンダム・・・」

ここで2人は初めて自分たちを救ってくれた、そしてのちに永いつきあいになるMSの名前を知った。

「しかしだ、ワシらも軍人という立場上、機密を保持せねばならない。そこでだ、彼女を臨時のテストパイロットとして迎えたい。そうすれば、君たちを不問にできる。」

「軍に入って、前線に立つことが処罰ってわけですね。」

響介がやや皮肉っぽくつぶやく。

「響介くん、もういいよ。艦長さん、私、やります!」

「ひ、光・・・」

それを聞いて、艦長やオペレーターたちに明るい表情が現れた。

「ありがとう光くん。我が軍は戦闘要員がほぼ全滅状態だ。ひびきの軍は君を歓迎するよ。」

こうして、光はMSのパイロットとして、響介はクルーとして戦艦レジェンド・ベルに搭乗した。

その後、艦長はケガの容態が芳しくなくなったらしく、医務室に運ばれた。そして、艦長代理は唯一生き残っていた士官の琴子が引き受けることになった。

民間人を乗せたレジェンド・ベルは、サイド7を出港する。艦の前に、Mガンダムに乗った光が待機し、敵の襲来に備えていた。


サイド7から艦体が完全に出た直後、オペレーターが敵機を捕捉した!

「琴子さん!敵襲です!ザクが近づいてきます!!」

「なんですって!どうしてもっとはやく報告しないの!?」

「す、すみません、ミノフスキー粒子が濃くて・・・し、しかも1機のザクは、通常の3倍のスピードで迫ってきます!!」

その報告を聞き、琴子ほかブリッジクルーは愕然とする!

「し・・詩織だ・・・赤髪の彗星だ!」

「詩織・・ルウム戦役で5隻の戦艦を1人で沈めたという・・赤髪の彗星・・・」

レジェンド・ベルは予期せぬ強敵を目の前にし、戦慄していた。


ひびきの軍の混乱をよそに、真っ赤に塗装されたツノのあるザクは猛スピードでレジェンド・ベルに迫っていた。そして肉眼で確認できるほどの距離に到達すると、その赤いザクは艦の前に待機するMガンダムをターゲットに捕捉した。

「見せてもらおうかしら、ひびきの軍のMSの性能とやらを!」


to be continued・・・

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